2020年1月25日土曜日

第1回 軌道シミュレータver.1 -等速直線運動-





  


野球ボールの軌道を計算する軌道シミュレータをエクセルで作成していきます。

マクロは使わずに普通の数式だけで行います。

まず手始めにver.1として、重力なし、空気力なしの条件でモデル化します。

このように計算の簡略化や現象の理解のために条件を限定することを
物理学では「理想化」と言います。

重力なし、空気力なしの場合ボールは飛翔中に力を受けないため、
運動の状態は時間がたっても変化しません。
投げられた瞬間の速度のまま、ずっと向きも速さも一定の動きをします。

このような動きを「等速直線運動」と呼びます。

ボールの軌道はただの直線になります。


それでは数式化します。


[計算式]


x軸をホーム方向、y軸を一塁方向、z軸を上空方向と定義

 




 
    
  
ここで、
v0:リリース時の球速、x0,y0,z0:リリース位置、
θ:上向きリリース角度、φ:横向きリリース角度、
t:リリース後経過時間

[計算式おわり]


ボールの空間位置x,y,zを時間tの関数として数式化できたので
これをエクセルへ入力していきます。

単位系はSI単位系です。

SI単位系では、距離はメートル(m)、時間は秒(s)のため
球速はなじみのある時速(km/h)ではなく秒速(m/s)を使用します。

[エクセル入力]


まず初期条件を入力。
プロの4シームを想定して以下のようにしました。
右投げを想定しているのでy0はマイナスになります。
 

  
次に時間tを少しずつ増加させて複数入力。
0.02秒おきにしました。
   
   
  
そして、x,y,zの数式を入力。
角度の単位は数式中で、度(deg)ではなく、ラジアン(rad)になることに注意です。

x位置(①式)

 
y位置(②式)







  
z位置(③式)






   
  
これで各時刻におけるボール位置x,y,zの値が計算できました。

[エクセル入力おわり]




数字だけ見てもつまらないので、散布図でグラフ表示します。

[エクセルグラフ化]


エクセルには散布図の3D表示機能はなさそうなので
三面図で各平面上の軌道をプロットします。
初期条件も併せて示します。


こんな感じになりました。グラフ中の点は0.02秒ごとのボール位置を表します。

















   
   
   
   
  
少し無機質なので、選手とグラウンドを追加します。






だいぶ良くなった気がします。向きも分かりやすくなりました。

[エクセルグラフ化おわり]


  

では、また。




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2 件のコメント:

  1. エクセルの散布図の作り方を教えてください。

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    1. G5セルをマウスの左クリックで選択>Shiftキーを押しながらH28セルをクリック。グラフにプロットする範囲が選択され、一時的に色がついた表示になります。次に上のメニューの挿入>グラフ>散布図。これで上から見下ろした視点のX-Y平面上のボール位置がプロットされます。横軸がX,縦軸がYです。
      X-Z平面,Y-Z平面も同様です。
      またグラフの表示範囲は軸を左クリック>右クリック>軸の書式設定>最小値、最大値の値を入力>Enterで変えられます。

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