ホームランを打つためにバットを、より重いものに変えることは有効だろうか?
バット30g増の打球速度計算
バット重量を変えた場合で打球速度計算を行う。
計算条件はヘッドスピード135km/h、投球速度130km/h、反発係数0.4134とする。
900gと930gのバットでの計算結果は以下のようである。
900gのバットでの打球速度165.5km/h、930gでは166.9km/hとなった。
30gのバット重量増加に対し、打球速度の増加は1.4km/hである。
バット重量vs打球速度
バット重量30g増はスイングする打者の体感では、かなりの違いとなる。
その割に打球速度への効果は小さく、わずか1.4km/hの増加にとどまる。
バット重量の増加率3.3%に対して、打球速度の増加率は0.8%と小さい。打球速度シミュレータver2.0の打球速度u1の計算式④みると理由が分かる。分子と分母の両方にm2があるため、打ち消しあって効果が出にくい。
800gから1000gの打球速度計算
バット重量を800gから1000gまで変えた場合の、計算結果を以下に示す。
その他の条件は先と同じである。
この範囲においては、バットが100g重くなるごとに打球速度は5km/h上がる。
スイングスピード
バット重量増加による打球速度アップは、ある程度の効果がみられる。
注意すべきは、上記は同じスイングスピードでの計算結果だということである。
打者がバットに与える力積が一定であればバットが受け取る運動量も一定のため、バットの重量に反比例してバットの速度は遅くなる。
打者の力量を越えるバット重量増加はスイングスピード低下を招くだろう。
バット重量増加によるプラスが、スイングスピード低下のマイナスを下回れば逆効果でしかない。
下記の追加計算結果から、バットを30g重くしてもスイングスピードが1.3km/h遅くなってしまうと、効果が相殺され、打球速度は変わらないということが分かる。
そのため、バットを重いものに変える際は、前後でスイングスピードを計測し低下がないことを確認してから採用すべきである。
バット重量増加が必ずしも良い結果につながるとは限らない。スイングスピードの低下が大きければ打球速度はかえって遅くなる。
実際、金属バットの高校野球では守備側の安全性確保のため、打球速度を落とす目的で、バット重量は900g以上という規定が設けられている。またプロ野球では、西武山川選手など操作性アップのために先端をくりぬき、軽くする方が現在主流である。
バットはすでに十分重いのである。
0 件のコメント:
コメントを投稿