ストレート-15キロ
チェンジアップは、ストレートより15km/h遅いのがベストだと言われています。
チェンジアップを得意にしている投手の球速データを調べてみました。
中日小笠原投手はストレートが145km/h、チェンジアップは130km/hでぴったり15km/h遅い球を投げています。
DeNA今永投手はストレート147チェンジアップ134で13km/h差、広島森浦投手はストレート145チェンジアップ129で16km/h差と、こちらも15km/h前後です。
NPB全体でみてもストレート145(先発)チェンジアップ130と15km/h遅くなっています。
(データはいずれも22年シーズンの平均値)
15km/h遅いと何が良いのでしょうか?
軌道計算しストレートと比べてみます。
15キロ遅いチェンジアップの軌道計算
チェンジアップの回転は投手によりさまざまです。ここでは簡潔にストレートと同じ回転軸、半分の回転数とします。
[計算条件]
球速はストレートが145km/h、チェンジアップは130km/hとします。
回転数はストレートが2200rpm、チェンジアップが1100rpmとします。
軌道シミュレータver.3.2へのインプットは以下のようです。
[計算結果]
gif動画(リアルスピード)
静止画 (0.02秒ごとのボール位置)
来ない球
145km/hのストレートは、リリースから0.43秒後にホームベース前端(x=18.1m)に到達します。これと同時刻に、15km/h遅いチェンジアップはまだx=16.5mにいます。
ストレートのタイミングで打ちに行った場合、予定していたミートポイントよりも1.6メートルボールが来ていない状態になります。
この1.6メートルの前後差は、打者が上体を折り曲げ手を伸ばしてもバットが届かないのに必要十分な距離です。
速すぎても遅すぎても
もしチェンジアップがもっと速く、ストレートとの球速差が-15km/hより小さいと、ホームベース付近での前後の距離差が縮まりバットに当てられやすくなります。
もっと遅くて、-15km/hより差が大きければ前後差も大きくなりますが、バットが届かないなら同じで追加のメリットはありません。打者に気づかれやすくなる、腕の振りが緩むといったデメリットばかりが大きくなります。
ストレートとの前後差を生み出すのが目的なので、ストレートとの球速差が重要になってきます。
同じ130km/hのチェンジアップでも、ストレートが160km/hの投手では遅すぎ差がありすぎになります。ストレートが135km/hの投手では速すぎ、差がなさすぎになります。
十分な前後差を生み出せ、かつなるべく速い球速として、ストレート-15km/hがベストなのだと考えられます。
落ちる球
上下の軌道はどうでしょう。
ホームベース上での上下差は38センチです。
球速差、したがって重力を受ける時間の差、と回転数の差、両方が加わり落ちる球としても十分な落差が発生しています。
投げた瞬間の軌道からベルト下の甘いストレートだと思った球が、膝高さの低めいっぱいまで落ちていきます。
うまくタイミングを合わされたとしても、縦の変化球として威力を発揮します。
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