2023年2月18日土曜日

第136回 ホームランを打つために必要なスイングスピード

 



ホームランを打つためには打球速度が大きいことが必須であり、そのために一定以上のスイングスピードが求められる。

では、どのくらい必要だろうか。


必要な打球速度

ホームランを打つために必要な打球速度は、140km/hである。

これは最低限である。140km/hでは打球角度と回転が最適条件かつ、最も距離の近いポール際へ飛んだ時に限り、フェンスを越えることができる。

フェンスまでの距離が最も遠いセンター方向へホームランを打つには、160km/h以上の打球速度が必要となる。

以下は、最適条件(打球角度上向き30度、毎分2500回転のバックスピン回転)での、打球軌道計算結果である。

打球速度の飛距離の相関
打球速度vs飛距離 (第30回)


飛距離は打球速度にほぼ比例する。


必要なスイングスピード

ホームランを打つために必要なスイングスピードは、上記の打球速度を出すために必要なスイングスピードである。

スイングスピードと打球速度の関係は以下のようである。投球速度130km/h、反発係数0.413の条件で打球速度計算を行った。



打球速度140km/hを出すためには、スイングスピード112km/hが必要である。

打球速度160km/h出すには、スイングスピード133km/hが必要である。


角度と回転をつけるために

飛距離を出すためには打球速度だけでなく、適度な打球角度とバックスピン回転も求められる。

そのためにボールの中心より少し下を打つが、そうすると上のグラフよりも打球速度は落ちる。

実測データによれば、打球角度が上向き10度で打球速度は最大となり、ホームランに最適な30度ではそれより10km/h程度遅くなる。(*1)

それを考慮し+10km/hのスイングスピードが必要と仮定すると、両翼100メートルのフェンスを越えるにはスイングスピード122km/h以上が、センター122メートルを超えるには143km/h以上が必要になってくると考えられる。





参考文献 :
 (*1) 科学するバッティング術 柳澤修・若松健太監修 英和出版社 (p39 図3) 
 (*2) BBMスポーツ科学ライブラリー 科学する野球 バッティング&ベースランニング平野裕一著
    ベースボール・マガジン社(図30)


素振りで測定する場合

自身のスイングスピードを素振りで測定する場合は、注意が必要である。

試合のように前から飛んでくる球を打つ時にはタイミングとコースを調整し、当てに行く動作が入る分だけ、スイングが鈍る。フルスイングしているつもりでも素振りに比べ、15km/hほどスイングスピードが遅くなる傾向がある。(*2) 

それを考慮してさらに+15km/hのスイングスピードが必要と仮定すると、素振りで測定したスイングスピードの場合、両翼100メートルのフェンスを越えるにはスイングスピード137km/h以上が、センター122メートルを超えるには158km/h以上が必要になる。

これはかなり高いハードルである。




 

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