ジャンプしてファールで逃げる
2000安打に向け順調にヒットを積み重ねている大島洋平選手は時折、曲芸のような打ち方をします。
スローVTRで見てびっくりしたのですが、打つ瞬間両足が地面から浮いています。
一度だけでなく何度もやっているので、たまたまではなく、意図的にジャンプして打っているようです。
他の選手も、ごく少数ですが、左のアベレージヒッターで同じことをしている人がいます。
多くは2ストライクに追い込まれた状態から、アウトコースの球をファールで逃げるときにこの打ち方をします。
ジャンプしながら打つとアウトコースの球をファールで逃げやすくなるとしたら、それはなぜでしょうか?
空中の扇風機
これはおそらく、扇風機の首振り機能と同じではないかと考えられます。
扇風機の首振りスイッチをオンにすると、頭が左右に回転します。(下図左)
当たり前のことだと思われるかもしれませんが、これは下の土台が床の上にあり、固定されているからこそなのです。
回転運動でも、直線運動と同じく作用反作用が働きます。
頭を回そうとするのと同じ大きさで反対方向のトルクが土台にも作用しています。
床上においてあるとき、土台は摩擦力による反力で動かないように固定され、頭のみが回転します。
その証拠に、取っ手をつかんで持上げると頭は固定されて動かなくなり、自由になった土台部分だけが反対方向に回ります。(図中)
では、手を離し、空中に浮いているときはどうなるでしょうか?
頭も土台も固定されていなければ、両方が回転します。ただし、頭の回転の勢いは床上のときよりも弱くなります。
(壊れるといけないので実際にはやらないでください。)
浮いて回転を弱める
打者のスイングもこれと同じです。
扇風機の頭が上半身、土台が下半身に対応します。トルクを生み出すのは腹筋背筋など体幹の筋肉です。
通常は強いスイングをするため、床上の扇風機のように下半身をしっかり使いトルクに負けないようにすることで、上半身を勢いよく回転させます。
打者がバッターボックスの土をならすのも、スパイクに歯がついているのも地面からの反力をしっかり得るためです。
アウトコースの厳しい球がきて、最初に予定していた通りの強いスイングをそのまま続けると合わないとき、上半身の回転を弱めて調整する必要があります。
そのために、ジャンプして両足を空中に浮かせいるのだと推測されます。
左のアベレージヒッター限定
両足を浮かせる打ち方は普通の人はまねしない方がよい打ち方です。難易度が高い動きでこれをやろうと意識しすぎると、打ち方がおかしくなる恐れがあります。
また自分が見た限り、この打ち方をするのは左のアベレージヒッターに限られているようです。
長距離砲では打つ瞬間、踏み出し足から頭までが一直線で捕手方向に傾いた姿勢になる傾向にあり軸足に体重がかかっているため、両足ジャンプは難しくなります。しかもジャンプは強いスイングをあきらめる打ち方です。
また右打者の場合は、右打ちするとき右足を背中の方に引くことで体の回転を弱める選手が多いようです。
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