プロとアマチュアの差
プロ野球投手とアマチュア投手の差は何でしょうか?
コントロール、変化球のキレ、球種の豊富さ、ボールの出どころの見づらさ、体力、メンタル、などなど。
いろいろ要素はありますが、やはりストレートの威力の違いが一番ではないでしょうか。
ストレートに差し込まれまいとするから変化球に泳いでしまうし、ストレートに威力があるから少々甘いコースでもとらえきれなくなります。
腕の振りが速いからこそ、変化球でも強い回転をかけられます。手先の器用な小学生がプロと同じ回転軸の球を投げられたとしても、プロのように鋭い変化をさせることはできません。
大きくホップするストレートがあるから、回転数を落として少し沈ませるだけで簡単に空振りをします。山なりのストレートを投げる小学生が自由落下に近い落ち方をするフォークを投げても、お化けのように打者の視界から消えることはありません。
今回はプロ投手の投げているストレートが、小学生投手や普通の高校生投手とどれくらい違うか軌道計算して比べてみます。
計算条件
球速は小学生投手、普通の高校生投手、プロ投手でそれぞれ95km/h,120km/h145km/h,とします。
回転数は球速に応じた値とします。回転軸は下図の様で、高レベルほどシュート回転、ジャイロ回転のより少ない回転軸とします。
リリースポイントは高レベルほど体のサイズが大きいと想定し、小学生はバッテリー間距離の違いも考慮します。バッテリー間距離は一般が18.44mで、小学生は16.00mなので、2.44mm手前から投げることになります。
[計算条件]
[計算結果]
計算結果は以下のようです。
グラフ上の点はリリースから0.02秒おきのボールの位置を表します。
お辞儀
高レベルほど上下軌道のお辞儀が少なくなり、より直線的です。
三者ともストライクゾーンの同じ高さに投げる条件で計算していますが、投げ出す角度は高レベルほどより下向きになります。
小学生は水平よりも上向きに投げ出し、途中で落ちてくる山なりの軌道です。
高校生はほぼ水平に投げ出されしばらく真っすぐ飛んでいきますが、ホーム手前で少しお辞儀します。
プロは水平よりも下に向かって投げ出され、そのまま大きく垂れることなくホームまで飛んでいきます。
レベルが上がるほどより下に向かって投げ出するため、マウンドの傾斜が必要になってきます。
到達時間
リリースからホームベース(x=18.01m)到達までにかかる時間は、小学生で0.60秒です。高校生は0.52秒で、プロは0.43秒です。
小学生は一般よりも2.44メートル手前(=18.44-16.00)から投げますが、それでも球速の速い高校生の方が短時間でホームまで到達します。
今回の条件では高校生の球は小学生より0.08秒(=0.06-0.52)早く到達します。一方、プロの球は高校生より0.09秒(=0.52-0.43)早く到達するので、プロ投手と普通の高校生投手のストレートの差は、高校生と小学生ほどの大きな差があるということになります。
3Dプロット
上記の計算結果を3Dプロットしました。
捕手側からの視点
投手側二塁よりからの視点
動画にすると勢いの違いがよく分かります。
高校生の投げる120km/hのストレートでも実際に打席に立つと一般人にはとても手に負えない速さなのですが、プロの145km/hを見た後ではチェンジアップのようです。
ではまた。
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