2020年7月25日土曜日

第26回 ホームランを打つための最適打球角度



 飛距離を出すために打ち上げる 

ホームランを打ちたい。

そのためにどうしたらいいか。

飛距離の出る大きなフライを打てばいい。

そのためには水平よりも、上に向かって打球を打ち上げるほうがよい。

では、どのくらい上に向かって打てばいいのか?

水平に打ち返した場合いくら打球が速くてもホームランにはならない。
内野手のグラブをかすめた打球がそのままスタンドインなんて、現実には起こらない。

打球が高く上がりすぎても飛距離が出なくて外野フライなってしまう。

その間に、低すぎず高すぎず最も飛距離の出る、最適な打球角度が存在するはずである。

そこで今回は、打球の軌道を計算して一番飛距離の出る打球角度を割り出す

ホームランを打ちたい人はぜひ参考にしてほしい。


 打球の軌道計算 

打球速度は140km/h、回転数は2500rpmで完全なバックスピンとする。
rpmは一分間あたり回転数の単位で、2500rpmだと平均的なプロ投手の4シームより少し多めである。

打球を角度を変えてそれぞれの打球軌道を計算していく。

[計算条件]

 バックスピン
 球速:v0=140[km/h]、打球角度:θ=10,20,30,40度(上向き)
 ミートポイント x0=0m(前方)、z0=1.0m(高さ) 
 ボール回転軸角度 θs=90度、Φs=-90度
 抗力係数 CD=0.41、揚力係数CL=0.22


[計算結果]

打球軌道の計算結果は以下のようになった。
飛距離最大打球角度の軌道計算結果

水平から30度上に向かって打ち上げると飛距離が最大になる。

30度の時、飛距離は106mで100m先にある高さ5mの両翼フェンスをノーバウンドで超えてホームランになる。


 40度では上がりすぎ、30度で打て 

40度は飛距離105mでこれもホームランになる。しかし少し高く上がりすぎで30度の時よりわずかに飛距離が落ちる。

屋外で追い風があるときなら40度の方が飛距離が出るかもしれない。

が、40度はお勧めしない。

30度でも40度でも両翼ならホームランになるが、センター方向だとフェンスまで122mの距離があるためフェアゾーンの打球となる。右中間、左中間も115mほどなのでやはりフェアゾーンに落ちる。

そのとき、打ってから地面に落ちるまで時間は30度が4.91秒なのに対して、40度では5.59秒かかる。
飛距離がほとんど同じなのに落ちるまで0.68秒余計にかかる。この0.68秒の間に時速28km/hで走る外野手は、5.2m移動する。それだけノーバウンド捕球されやすくなる。

・40度では30度と飛距離は変わらないため、ホームランのなりやすさは同程度
・40度では30度よりも地面に落下するまでの時間が長いため、フェンス越えしないときは外野フライになりやすい。
⇒そのため、40度よりも30度で打ち上げる方がよい。


 20度ではホームランにならない、が悪くはない  

20度の飛距離は97mでフェンス手前でワンバウンドする。ポール際でもホームランにならない。
だが、この打球、2ベースヒットになる可能性は高い。

打ってから地面に落ちるまで3.9秒かかる。足の速い打者の一塁到達タイムと同じぐらいである。背走することを考えると、この3.9秒間で外野手が移動できるのはせいぜい25m程度である。
外野手の定位置はホームから75m程度であるから、前進守備なら間違いなく頭を越せるし、通常ポジションでもよほど真後ろでなければ外野手の間を破ることができる。

そのため、ホームランにはならなくても、20度の打球はツーベースやになりやすいのである。

なお、今回は打球速度140km/hで計算したが、150km/h以上なら20度でもフェンスを越えてホームランになる。


 10度はシングル狙い  


10度の打球の飛距離は72m。外野手の定位置の少し手前なので、正面に飛ぶとライナーで捕られてしまう。
だが、打ってから落ちるまでは2.5秒と短いため、打球コースが外野手の守備位置から少しずれればヒットになる。

また、ホームから30,40m地点を高さ5mで通過していく。
これはフェアゾーンのどこへ飛んでも、内野手がジャンプして取ることはできず、ライナーでアウトになることがないことを意味する。

最初からシングルヒット狙いであっても、水平より少し上向きの10度で打つ方が、水平やゴロで打ち返すよりもヒット確率は高くなる



では、また。




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