骨より硬い硬式球
野球の硬式ボールは、石のように硬い。
硬式球で野球をするとき、必ず、バッターはヘルメットをかぶり、キャッチャーや審判はマスクおよびプロテクターをつける。
硬式球で野球をするとき、必ず、バッターはヘルメットをかぶり、キャッチャーや審判はマスクおよびプロテクターをつける。
それはもし、なしで当たると骨折などの大ケガをするからである。
それは、空気抵抗があるからである。
ではいったい、どれくらい減速しているのだろうか?
今回は、ホームランの打球が外野席の客の手元に届く頃、空気抵抗によりどのくらいまで減速しているのか計算を行ってみる。
計算してみる。
[計算式]
抗力Dは以下の式で計算される。
ここで、
力の単位をNから、なじみのあるキロ(kgf)に変換すると、
D=1.82/9.8 = 0.19[kgf]
となる。
150km/hの打球には0.19kgfの空気抵抗が作用しているのである。
0.19kgfは、重量が0.19kgの物体に作用する重力と同じ大きさの力である。
日常生活で言えば、コップ一杯分の水が190cc程で、重量が0.19kgで、0.19kgfの重力を受けている。
意外と小さい気がするだろうか。
だが、ボールの重量は0.145kgであるから、自身が受ける重力以上に強い力を空気抵抗として受けていると考えると決して小さくはない。
飛んでいる間に速度が変わるからだ。
抗力Dは速度vの二乗に比例する。
空気抵抗Dを受けると速度vは低下し、速度vが低下すると空気抵抗Dが小さくなる。
お互いに影響しあって、刻一刻と変化していく。
そのため、時間積分をして外野席に届いた時の打球速度を求める。
今高校生の人は「積分なんか計算できるようになって将来、何の役に立つんだ」と疑問に思いながら授業を受けているかもしれないが、こういう「少しずつ連続的に変化していくものが、トータルでどうなるのか」というのを計算するのにはものすごく有効な手段である。
[計算条件]
●静止画
この速度だからボールをとった人のが大ケガをすることもなく、ちょっと痛いぐらいで済むのである。
では、また。
特に頭に当たると大変危険である。
頭蓋骨は数百ある人体の骨の中でも一番の強度を誇るが、それでも硬式球には負けてしまう。
外野席の客は骨折しない
そんな硬くて危険な硬式ボールなのだが、外野席で観戦している客はホームランボールを素手で直接キャッチしても、割と平気である。痛てて、と、手を振りながらも、笑っていられる程度である。
手のひらの骨が粉々に砕けって、病院送りになることはない。
プロ野球では12球団合わせて年間数百本ものホームランが外野席に打ち込まれているが、ボールを捕りそこなって頭に当たって大参事というニュースは聞いたことが無い。
なぜか?
なぜか?
それは、空気抵抗があるからである。
打った瞬間はものすごい速度だった打球も、空気抵抗によりホームベースから外野席まで100メートル以上の距離を飛んでいく途中で次第に減速していく。
ではいったい、どれくらい減速しているのだろうか?
今回は、ホームランの打球が外野席の客の手元に届く頃、空気抵抗によりどのくらいまで減速しているのか計算を行ってみる。
打球が受ける空気抵抗
空中を飛ぶ打球は、どのくらいの大きさの空気抵抗を受けているのだろうか?計算してみる。
打球の速度と反対方向に作用する空気力、つまり打球にブレーキをかける空気抵抗を「抗力」と呼ぶ。
抗力Dは以下の式で計算される。
ここで、
CD:抗力係数、ρ:空気の密度、v:ボールの速度、A:ボールの断面積
抗力Dは速度vの二乗に比例する。
そのため、打球速度が速いほど大きな空気抵抗を受ける。
[計算結果]
そのため、打球速度が速いほど大きな空気抵抗を受ける。
[計算結果]
打った瞬間の打球速度をv=150km/h(=41.7m/s)、回転数を2500rpm、回転軸は完全なバックスピンとする。
このとき抗力係数はCD=0.41(SP=0.23)である。
空気密度ρ=1.205[kg/m^3]、A=0.0043[m^2]と上記の値を抗力Dの式に代入すると、
D=0.41×1/2×1.205×(41.7)^2×0.0043 = 1.82[N]
となる。
空気密度ρ=1.205[kg/m^3]、A=0.0043[m^2]と上記の値を抗力Dの式に代入すると、
D=0.41×1/2×1.205×(41.7)^2×0.0043 = 1.82[N]
となる。
力の単位をNから、なじみのあるキロ(kgf)に変換すると、
D=1.82/9.8 = 0.19[kgf]
となる。
150km/hの打球には0.19kgfの空気抵抗が作用しているのである。
0.19kgfは、重量が0.19kgの物体に作用する重力と同じ大きさの力である。
日常生活で言えば、コップ一杯分の水が190cc程で、重量が0.19kgで、0.19kgfの重力を受けている。
つまり、150km/hの打球には、コップ一杯分の水に作用する重力と同じぐらいの力がブレーキとして作用していることになる。
意外と小さい気がするだろうか。
だが、ボールの重量は0.145kgであるから、自身が受ける重力以上に強い力を空気抵抗として受けていると考えると決して小さくはない。
空気抵抗は刻一刻と変化する
150km/hの打球には0.19kgfの空気抵抗が作用するが、飛んでいる間ずっとこの大きさの力を受けるわけではない。飛んでいる間に速度が変わるからだ。
抗力Dは速度vの二乗に比例する。
空気抵抗Dを受けると速度vは低下し、速度vが低下すると空気抵抗Dが小さくなる。
お互いに影響しあって、刻一刻と変化していく。
そのため、時間積分をして外野席に届いた時の打球速度を求める。
今高校生の人は「積分なんか計算できるようになって将来、何の役に立つんだ」と疑問に思いながら授業を受けているかもしれないが、こういう「少しずつ連続的に変化していくものが、トータルでどうなるのか」というのを計算するのにはものすごく有効な手段である。
打球速度の計算結果
では、軌道シミュレーターver.3.2により計算を行う。打球(バックスピン回転)
球速:v0=150[km/h]、打球角度:θ=30度(上向き)
ミートポイント x0=0m(前方)、z0=1.0m(高さ)
ボール回転軸角度 θs=90度、Φs=-90度、
回転数 N=2500rpm (SP=0.23):抗力係数 CD=0.407、揚力係数CL=0.209
[計算結果]
球速:v0=150[km/h]、打球角度:θ=30度(上向き)
ミートポイント x0=0m(前方)、z0=1.0m(高さ)
ボール回転軸角度 θs=90度、Φs=-90度、
回転数 N=2500rpm (SP=0.23):抗力係数 CD=0.407、揚力係数CL=0.209
[計算結果]
打球速度150km/h、上向き30度に2500rpmのバックスピン回転がかかった打球でホームランを打った時の軌道および、速度の計算結果は、以下のようになった。
gif動画と静止画を作成した。
●gif動画(実際の速度)
●静止画
打球速度vの計算は具体的には、軌道シミュレーターの速度成分を二乗して足し合せてルートをとったものである。
v=√{(dx/dt)^2 + (dy/dt)^2 + (dz/dt)^2} : 打球速度
客は小学生並みの球をキャッチする
時速150キロで打ち出されたホームランの打球は、外野スタンドで客がキャッチするときには93km/hまで減速している。
93km/hとは、少し球の速い小学生投手ぐらいの球速である。
93km/hとは、少し球の速い小学生投手ぐらいの球速である。
この速度だからボールをとった人のが大ケガをすることもなく、ちょっと痛いぐらいで済むのである。
途中から加速する
また、打球速度Vのグラフを見ると速度は飛翔中ずっと下がり続けているわけではなく、頂点の少し後ろx=84mでv=71km/hまで低下したのち、加速に転じている。
これは速度の上下成分(z成分)によるものである。
打球が上昇してく時には上向き速度成分も減少し続けるが、上がりきって頂点を過ぎ落下軌道に入ると今度は重力により下向き速度成分が増加していく。
そのため速度の水平方向成分(x成分)に限れば飛翔中ずっと低下しているが、トータルの打球速度は頂点を過ぎたあたりで最低となり、落下につれて加速するのである。
*****
外野席に飛び込むホームランボールは小学生並みの球速まで減速している。
そのため骨折をするほどではない。
とはいえ、下手に触れば突き指や打撲をする危険はある。
速くなくても硬式球が硬いことに変わりはない。
そのためもし観戦に行って自分の方に向かってホームランボールが飛んで来たら、怪我には気を付けながらゲットしてほしい。
では、また。
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