日本一ホームランの出ない球場
ナゴヤドームは日本一ホームランの出にくい球場です。
一方で、東京ドームではホームランが出やすく、空調で追い風を起こしていると噂が立つほどです。
しかし両翼、センターフェンスまでの距離はどちらも同じで100m,122mです。
ではなぜ、ナゴヤドーム方がホームランが出にくいのでしょうか?
ナゴヤドーム
ナゴヤドームは1997年に開場した中日ドラゴンズが本拠地としている球場です。
名前の通り愛知県の名古屋市にあり、上空から見るとまん丸の形をしています。
過去にはAKB総選挙やボブサップvs曙が行われ、野球以外のイベントにも広く使用されます。
そんなナゴヤドームですが、外野フェンスの形状は下図の青線のようになっています。
一見、外野フェンスはホームベースを中心点とした円弧のように見えますが、そんなことはありません。
両翼100m、センター122mですので、ホームベースから外野フェンスまでの距離は一定ではありません。
引張ったり流し打ったりするよりも、センター返しした時の方が打球が速く遠くまで飛ぶため、野球場はどこも両翼よりもセンターの方が広く設計されています。
美しい円弧
しかしそれでも、円弧に見えます。
なので作図して調べてみました。
その結果、やっぱり円弧でした。
ただし、その円の中心点はそれはホームベースではなく、センターラインとインフィールドラインの交点あたりにありました。
ホームベースからピッチャープレートまでが18.44mであり、インフィールドラインはピッチャプレート中央を中心点とした半径約29mの円弧のため、ナゴヤドームの外野フェンスは半径74.5m(=122-18.44-29)の円弧になります。
また、外野フェンスの円弧の中心点は、ナゴヤドームという建造物全体の中心点と一致しています。
外観、5階席、外野席、そして外野フェンス。すべてが同じ点を中心点とした円弧、すなわち同心円になっています。
美しいですね。同心円の幾何学的美しさを持つと同時に、両翼100m,センター122メートルというプロ野球の標準的寸法もクリアしている。
素晴らしい設計です。竹中工務店はいい仕事をします。
- ナゴヤドームの外野フェンスは半径74.5mの円弧である。
- その中心点は建物全体の中心点と一致しており、同心円になっている。
東京ドーム
東京ドームは東京都文京区にある、読売巨人軍が本拠地としている野球場です。かつては日本ハムファイターズも本拠地としていましたが、何か不満があったようで北海道へと移転しました。
開場は1988年と古く、外野席の足元のコンクリートにはひび割れも多く見られます。
そんな東京ドームですが、外野フェンスの形状は下図の橙線のようになっています。
両翼とセンターを結ぶ右中間、左中間のフェンスをみると随分と真っすぐです。
ナゴヤドームの円弧の丸みとは対照的です。
凹んだ正方形
今では誰も言いませんが、開場当時はビッグエッグ(巨大な卵)という公式ニックネームがついていました。
しかし上空から見た形状は卵型ではなく、四角い形をしています。
内装を見ると内野席が非常に広く、外野席は極端に狭くなっています。
外野フェンスを含めたフェアゾーンをみるとやはり四角く、正方形に近いように見えます。
正方形なら対角線つまりホームからセンターまでの距離は100m×√2=141.4mとなるはずですが、センターまでの距離は122mなので実際は正方形からセンターを凹ませた形になっ
ています。
すこしいびつな形です。
- 東京ドームの外野フェンスはまっすぐである。
- フェアゾーンは正方形からセンターをへこませたような形である。
比較
ナゴヤドームと東京ドームは両翼、センターの距離は同じでも、外野フェンスの形状が大きく異なることが分かりました。
両者を重ねることでどのくらい違うのか見てみます。
下図のようになりました。
ホームから右中間、左中間フェンスまでの距離がまるで違います。
0 件のコメント:
コメントを投稿