2022年6月11日土曜日

第120回 投げられない変化球2:ストレートと同球速の高速カーブ

 


誰が投げても遅い

ストレートの球速は速く、カーブは遅い。

当たり前のことですが、なぜ当たり前かというと誰が投げてもそうなるからです。

130キロ以上の速いカーブを投げる投手もいますが、その投手のストレートは150キロ以上出ます。

カーブの球速は、自分自身の全力ストレートよりも必ず遅くなります

ドラム式のピッチングマシンならば、上下2つのドラムの回転数を入れ替えてやれば球速はそのままで回転軸だけ180度反転し、ストレートと同じ球速でカーブが投げられます。

しかし、人間がボールを手でも持って投げると、カーブ回転の球は誰がどう頑張っても、ストレートと同じ腕の振りの速さで投げても、どうしても遅くなります。


前へ転がると速く、後ろへ転がると遅い

なぜ同じ腕の振りの速さでも、ストレート(4シーム)は速く、カーブは遅くなるのかというと、それは回転がかかるときにボールが転がっていく方向の違いです。

ストレートは遠心力で指先のほうへ転がっていくとき、人差し指と中指で形成されたフックに沿って前方へも転がっていきます。手に対して前に進んでいくので、手の速度より相対的に速くなります。

カーブは加速に伴う後方への慣性力で後ろ側、センター方向へボールが転がっていきます。手に対して後ろへ進んでいくので、手より相対的に遅くなります。



前回行った概算では、それぞれ手に対して±10km/h相対速度がつくという結果になりました。つまり、カーブはストレートよりも20km/h遅くなる、ということです。

例えば、145km/hのストレートと同じ腕の振りの速さでカーブを投げても、125km/hしかでないのです。



 

145km/h、高速カーブの軌道計算

さて、人間には投げることのできないストレートと同球速のカーブですが、計算するだけならいくらでもできます。

ストレートと同球速の超高速カーブのコンビネーションを投げられたら、どのようであるか軌道計算してみます。


[計算条件]

カーブ、ストレートとも球速、回転数は同じ145km/h, 2200rpmとし、回転軸だけを変えます。

軌道シミュレータver3.2へのインプット値は、以下のようです。



[計算結果]
145km/hのカーブと145km/hのストレートの軌道計算結果は、以下のようです。
グラフ中の点は0.02秒ごとの、一番右端のみホームベース前端(x=18.01m)におけるボールの位置を表します。


ホームベース前端上におけるが上下位置の差は58cmです。

通常のカーブのように球速差がないため、重力の落下による上下の軌道差はありませんが、それでも回転軸の違いだけでこれだけの差ができます。

横位置の差は37cmあり、これは通常球速のカーブと同じです。同じリリース角度で投げだされた球が右打者のインハイと、アウトローのストライクゾーンぎりぎりへと分岐していきます。




3Dプロット

上記の計算結果を3D CADソフトでプロットし、リアルスピードのgif動画にしました。
今回は投手側からの視点です。


145km/hのカーブと、145km/hのストレートのコンビネーションです。

145km/h超高速カーブ & 145km/h4シーム




比較用に125km/hの通常球速のカーブを同じ回転数、同じ回転軸で計算したものも作成しました。
こちらを見てから再び上の145km/hカーブを見るととても速く感じられます。

125km/h通常カーブ & 145km/h4シーム




 



ではまた。




0 件のコメント:

コメントを投稿