2023年3月18日土曜日

第140回 アンダースローとソフトボール、どちらがより浮き上がる軌道か?




低いリリースポイント

女子ソフトボールの投球は、プロ野球の打者でもまともに打つことができません。

特に、高めのライズボールはボールの遥か下を空振りします。

ウインドミル投法でぐるっと一回転して勢いのついたボールは、膝の高さから投げ出されます。

低いリリースポイントから上向きに投げることにより、浮き上がるような軌道になります。

野球でもアンダースロー投法では低いリリースポイントから上に向かって投げ出されますが、女子ソフトの球ほどの威力はないようです。


体感速度

女子ソフトの球速は110km/hほどで、野球ならスローボールに分類される遅さですが、バッテリー間の距離が近いため速く感じます。

体感速度は160km/hとも言われています。

実際、以前行った計算の結果はリリースからホームベース到達までの時間は160km/hのストレートとほぼ同じで約0.4秒でした。

アンダースローの球速は130km/hです。ソフトに比べると体感速度は遅くなります。


浮き上がるような軌道

浮き上がるような軌道についてはどうでしょうか?

ソフトボールとアンダースロー、どちらがより浮き上がるような軌道であるか、軌道計算をし角度を比べてみます。



ソフトとアンダースローの軌道計算

ソフトボールは球速110km/hのライズボール、アンダースローは球速130kmhの4シームとします。比較のためオーバースロー160km/hの4シームも追加します。

いずれも高めのコースとします。


[計算結果]

計算結果は以下のようになりました。

グラフ上の点は0.02秒ごとのボールの位置を表します。ホームベース上では軌道が重なって見づらいため、拡大図を追加しました。

また投げ出すときおよび、ホームベース上での上下方向の角度も記載しました。

アンダースローvsウインドミル

投げ出すときの角度はソフトボール、アンダースロー共に上向き5.0°で同じになりました。

一方、ホームベース上での角度はソフトが上向き0.2°、アンダースローは下向き1.6°です。

ソフトボールの方がより浮き上がる軌道になっています。

軌道、体感速度ともにソフトボールの方がアンダースローより上であると言えます。


下から上

重力による落下量は時間の2乗に比例します。そのためリリースからホームベース到達までの時間が長いアンダースローの方がよりお辞儀した軌道になります。

ソフトボールはホームベース上でも水平よりも上向きの角度で、下から上にボールが飛んでいるため、野球用のアッパースイングでは当てるのが難しくなります。

野球ではタブーとされるダウンスイングもソフトボールでは有効なテクニックです。


オーバースロー160km/h

オーバースローのストレートはリリースポイントが高いため、下向きに投げ出されます。そのため、軌道のお辞儀は小さくとも、ホームベース上では下向き4.1°の角度で飛んでいます。

同じ体感速度でもソフトボールとは4.3°角度がずれています。



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