スプラッシュショット
野球のボールは水に浮くか?それとも沈むか?
この答えは、ある程度年のいった野球ファンなら、みんな知っています。
バリーボンズ選手が放つ場外弾、通称スプラッシュショットは沈まず水面に浮かび、ボートで待ち伏せしている人たちに回収されました。
浮力と重力
浮くか沈むかは、浮力と重力の大小関係で決まります。
浮力の方が大きければ浮かび、重力の方が大きければ沈みます。
その大きさは、「物体が押しのけた体積分の流体が受ける重力」と同じになります。
これをアルキメデスの原理といいます。
アルキメデスの原理
Pf = v×ρ×g : ボールに働く浮力
ボールに働く重力Pは、ボールの密度(ρ')を用いて以下のように表されます。
P = v×ρ'×g : ボールに働く重力
vとgは共通なので、水の密度ρ>ボールの密度ρ'なら、浮力Pf>重力Pとなって、浮きます。
浮力と重力どちらが大きいかは、水とボールの密度どちらが大きいか比べると知ることができます。
密度比較
では、数字を入れて計算してみます。
m=0.145kg : ボール重量
d=0.074m : ボール直径
v=4/3・π・(d/2)^3 = 0.00021 m^3 : ボール体積
ρ'=m/v=0.145/0.00021=690 kg/m^3 : ボール密度
水の密度はρ=1000 kg/m^3ほどです。
よって、ρ>ρ'で、ボールは水に浮きます。
水中ボールの軌道計算
水中でボールを投げたらどうなるでしょうか。
浮力の方が大きいので、空気中のように重力に負けてお辞儀する軌道にはなりません。
空気中よりはるかに強い水中の抵抗と浮力を受けた場合、ボールはどのように飛んでいくのか軌道計算してみます。
[計算条件]
球速はプロレベルのストレートを想定し、150km/hとします。
水中の重力加速度は、浮力を考慮した値でg'=9.81*(1-1000/690)=-4.40m/s^2とします。
水中は回転はなしとして揚力係数CL=0、抗力係数はCD=0.40で一定とします。
軌道シミュレータver.3.2へのインプット値は以下のようです。
[計算結果]
計算結果は以下のようになりました。
静止画
グラフ上の点は、水中は0.1秒おき、大気中は0.02秒おきのボールの位置を表します。
水中で行う球技も世の中にはありますがどれも超マイナー競技です。まともにボールが飛んでいかずやっても楽しくないからです。
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