ホームランを打つための練習として「ロングティー」がある。冬場のオフシーズンによく行われる。
トスされた球を、広いグランドに向かって、思い切りフルスイングで角度をつけて飛ばす。
ネットに向かって打つ通常のティー打撃と違い、打球の軌道や飛距離を確認しながら打つことができる。
飛ばない打球
やってみると分かることだが、ロングティーはフリーバッティングに比べ打球が飛ばない。
打ちやすい球でフルスイングで真芯でとらえているのに、手ごたえとは裏腹に飛距離が伸びない。
これは、投球の反発力がないからである。
壁当てで速い球をぶつければ、跳ね返ってくる球も速くなる。バッティングも同様である。前から高速で飛んでくる球を打つほうが、緩いトスを打つよりも強い打球が打てる。
打球速度計算
同じスイングスピードで打った時、フリーバッティングのように前から飛んでくる球を打った時と、ロングティーのようにトスされた球を打った時で、打球速度がどれくらい違うのか計算をしてみる。
計算条件はフリーバッティングの投球速度を130km/hとし、ロングティーは簡潔に0km/hとする。
スイングスピード(ヘッドスピード)を135km/h、反発係数を0.4134で共通とする。
計算結果は以下のようになった。
フリーバッティングの打球速度は166km/hとなった。対して、ロングティーは137km/hである。
同じスイングスピードでも、ロングティーでは打球速度が30km/h弱遅くなる。
飛距離の軌道計算
この30km/hの打球速度の差は、飛距離ではどのくらいの違いになるだろうか。
打球を軌道計算してみる。
計算条件は、打球速度は上記の打球速度シミュレータver.2.1の値とし、打球角度は上向き30度、毎分1500回転のバックスピン回転とする。
軌道計算結果は以下のようになった。
フリーバッティングの飛距離は127メートルで、ロングティーは99メートルとなった。
フリーではセンターフェンスを越えるのに対し、ロングティーではポール際フェンスの手前にバウンドする。
同じスイングスピードで打っても、ロングティーでは28メートルも飛距離が落ちる。
大違いである。
試合ではHRになる
ロングティーでどう頑張ってもフェンス越えできないからといって、もうアベレージヒッターでいいやと考えるのは早計である。
フェンスの手前まで飛んでいれば、試合では投球の反発力が加わって飛距離がアップしホームランとなる可能性がある。
またもしロングティーで100メートル先のフェンスを越えられるようになったら、その時、試合ではバックスクリーン直撃弾が打てるほどのとんでもないパワーが身についているということになる。
ロングティーでフェンスを越すのは、フリーバッティングで場外弾を打つのと同じくらい難しい。越えられるのは本物のパワーヒッターのみである。
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