(ナビゲーター)
みなさん、こんにちは。
架空の相談者からの質問に、架空の解説者が回答する、架空の野球こども相談室のお時間です。
それではさっそく、最初の質問者さんです。
👦A君(東京都、中学1年生):カーブが曲がりません(T_T)
ピッチャーをやっています。今年から中学生になり変化球を覚えないといけないのですが、カーブが全然曲がりません。キャッチボールのパートナーから回転はカーブになっていると言われます。
このまま投げられないなら、野手に転向しろと先輩から言われ悩んでいます。
🙋O氏(大阪府、元プロ野球投手):小指を前にして投げなさい
回転はかかっているのに曲がらんということは、回転数が足りとらんとゆうことやね。
カーブばっかし投げて200勝した、私の投げ方を教えましょう。
人差し指と中指をくっつけて、縫い目に横向きになるように握る。そんで投げる時に、小指側を前にしてリリースする。手首のひねりはいらん。手首は固定する感じで、リリースの瞬間、握力をぐっとかける。それでもボールは腕の振りのスピードで後ろに引っ張られる感じで、人差し指と小指の間から後ろに抜けていく。慣性力の仕業やね。
そうすると回転がようかかる。
小指側からリリースするには肘を柔らかく使うのがコツ。私なんか人よりもずっと柔らかいから、小指どころか手の甲を前にしてリリースしとったよ。だけどこれは、天性のものだからね、硬い人が無理したらいかん。
👨Y氏(愛知県、気象予報士):風上に向かって投げろ!
カーブが曲がるのは、回転のかかったボールの両側では気圧差が生じるからです。マグナス力と呼ばれる、空気からボールが受ける力です。
このマグナス力はボールと空気の「相対速度」の2乗に比例します。ボールの球速が同じでも、空気の方がボールに向かって動いていれば相対速度が大きくなり、マグナス力が大きくなります。
ですから風の強い日に風上に向かって、つまり、強い向かい風を受けるようにしてカーブを投げれば大きく曲るようになるはずです。
ちなみに、雨が降った次の日が狙い目です。
遠ざかっていく低気圧に向かって空気が流れ込むため、風が強くなることが多いでしょう。
👩M氏(福岡県、保育士):ボールを軽くしてごらん(゜▽゜)
ピンポン玉ってよく曲がりますよね。
それは中が空洞になっていて、大きさのわりに軽いからです。
ボールの加速度はマグナス力をボール重量で割った値になりますので、分母の重量が小さいほど加速度が大きくなって変化量が増えるのです。
だからボールの大きさはそのままで、軽くするとよく曲がるようになります。
軟式ボールならのこぎりで2つに割って、中の黒い部分を削って軽くして、接着剤でくっつければインチキ軽量ボールが作れます。
試合では使えないので注意してね。
(ナビゲーター)
はい、皆さんありがとうございました。
A君はどうかな、参考になったかな?
(A君)
はい、なりました。Oさんの投げ方に変えたら、球速は80km/hのままだけど、回転数が1000rpmから1500rpmにアップしそうな気がします。
(ナビゲーター)
それはよかったです。では、さっそく、こちらのブルペンで投げ比べてもらいましょう。
最大風速20m/sの大型送風機と、中をくり抜いて重さを半分にしたボールも用意しましたので、どうぞこちらも使ってみてください。
(A君)
えいっ。
(ナビゲーター)
わあ、すごい。回転数が増えてボール一個分ぐらい大きく曲がるようになりました。
重さ半分の軽量ボールと、送風機による風速20m/sの向い風はそれ以上です。
A君、良かったですね。
では、A君がこれからも投手を続けられることを願いつつ、お別れです。
では、また。
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